不況と内定取り消し
コロナで経済の衰退が叫ばれる昨今
不況になると必ずと言っていいほど
内定取り消しの話題が出てきます
内定取り消しの違法性について、
議論されることは多いですが、
具体的にどのような場合に違法で、
どのような場合に合法かはっきりしない方も多いのではないでしょうか
内定の取り消しについて、法的判断の基本的な方向性は
大きく二つあります
厚生労働省の文章の一部を転載し簡潔にまとめます
1.他に労働契約を締結するための特段の意思表示が予定されていない場合には、
申込みの誘引としての募集に応募したのは、労働契約の申込みであり、
採用内定通知はこの申込みを承諾したものとして、誓約書の提出とあいまって、
就労の始期を大学を卒業した直後とし、
その間、誓約書に記載された五項目に該当する行為があれば採用内定を取消せる労働契約が成立したと解する。
⇒誓約書を交わし、それに抵触する場合内定取り消しは合法
2.採用内定を取り消せるのは、内定当時知ることができないか、
知ることが期待できないような事実であって、
これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、
社会通念上相当として是認できるものに限られる。
⇒内定を出す時、わからない『ヤバイ事実』が明らかになったら取り消しは合法
ここで困るのは『ヤバイ事実』とはどのようなことを指すのでしょうか
実例をもとにいくつかの例を端的にお示しします
1.単位不足により卒業できなかった
⇒学業が原因
2.内定予定通知の返信がなく音信不通
入社条件である資格が取得できなかった
会社が提示した書類を提出しなかった(提出期限を過ぎてからの提出)
⇒入社前の準備不足が原因
3.提出物の履歴書などで経歴詐称
・重大な違法行為の発覚
⇒履歴書の学歴や資格は等の詐称はNGですし
警察沙汰になるのも内定取り消しの原因になります
4.SNSに不適切な内容の投稿をした
⇒近年増えている内容です
5.健康状態の悪化(妊娠発覚も含む)
⇒業務に影響のある程度のものであれば取り消しが認められます
6.[企業側]人件費が経営を圧迫してしまう
⇒整理解雇と同等の根拠が求められます
このようにこれまの実例を確認すると、
いくつかのパターンに分類することが出来ます
内定取り消しの判断を下す場合は、
これらの内容に留意が必要になります
1-2 「採用内定の取消」に関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性|裁判例|確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp)