人事異動が違法になる!?②

今回の内容は以下リンク12月7日投稿の記事の続きになります
人事異動が違法になる!?① | MRKK社会保険労務士事務所|横浜・東京の助成金申請・人事労務相談
判決を完結にまとめると
・地裁、高裁は労働者側勝訴
・最高裁では会社側勝訴
という内容でした
この判決のポイント、根拠として重要なのは
「転勤命令の業務上の必要性」と「労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益」
この二つのバランスを考えて判決が下されることです
地裁、高裁の判決では「転勤命令の業務上の必要性」に関して
名古屋への異動という案が出るということは
必ずしもXさんが広島に転勤する必要はなかったということになり
「転勤命令の業務上の必要性」については必要性が薄いと判断されました
しかし、最高裁で業務上の必要性については
『当該転勤先への異動が余人をもっては容易に替え難いといった高度の必要性に限定することは相当でなく、
労働力の適正配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など
企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは、業務上の必要性の存在を肯定すべきである。』
⇒Xさんが転勤しなきゃ絶対ダメという大きな理由は要らない、業務上の会社の都合があれば良い
と判断されました
加えて当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものでないことが明らかであるため
(例えば労働組合の活動の妨害等を目的とした転勤は不当)
最高裁では「転勤について業務上の必要性があった」を判断されました
地裁、高裁の判決では「労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益」についても
本件では必要性と比較して不利益が大きいと判断されましたが
最高裁では
・Xさんの母親が高齢ながらも健康であること
・Xさんの妻が年齢的に再就職が困難でないこと
を理由に
「不利益はあるものの、通常甘受すべき程度を著しく超えるものではない」とされました
以上がこの判決のポイントになります
日本の労働制度は終身雇用で雇用が安定している反面
転勤という人材配置については労働者に不利になる面がありそうです